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NHK世論調査 憲法改正「必要」は36%「必要ない」は19% | NHK

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3日は、日本国憲法の施行から77年となる憲法記念日です。NHKの世論調査で今の憲法を改正する必要があると思うかどうか聞いたところ、「改正する必要があると思う」は36%、「改正する必要はないと思う」は19%、「どちらともいえない」が41%でした。

《調査概要》

NHKは、先月5日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行いました。

調査の対象になったのは、3129人で、49%にあたる1534人から回答を得ました。

《憲法改正の必要性》

今の憲法を改正する必要があると思うかどうか聞いたところ、「改正する必要があると思う」が36%、「改正する必要はないと思う」が19%、「どちらともいえない」が41%で、去年の同じ時期に行った調査とほぼ同じ割合となりました。

(2023年調査:必要ある35%、必要ない19%、どちらともいえない42%)

《"改正が必要"の理由》

「改正する必要があると思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「日本を取りまく安全保障環境の変化に対応するため必要だから」が47%と最も多く、「国の自衛権や自衛隊の存在を明確にすべきだから」が22%、「プライバシーの権利や環境権など、新たな権利を盛り込むべきだから」が15%、「アメリカに押しつけられた憲法だから」が7%でした。

《"改正は必要ない"の理由》

憲法を「改正する必要はないと思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「戦争の放棄を定めた憲法9条を守りたいから」が65%と最も多く、「基本的人権が守られているから」が13%、「すでに国民の中に定着しているから」が11%、「アジア各国などとの国際関係を損なうから」が6%でした。

《9条改正の必要性》

憲法9条について、改正する必要があると思うかどうか聞いたところ、「改正する必要があると思う」が31%、「改正する必要はないと思う」が29%、「どちらともいえない」が35%で、去年の同じ時期に行った調査と比べて、いずれも同程度となりました。

(2023年調査:必要ある32%、必要ない30%、どちらともいえない34%)

《9条"改正が必要"の理由》

憲法9条を「改正する必要があると思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「自衛力を持てることを憲法にはっきりと書くべきだから」が60%と最も多く、「国連を中心とする軍事活動にも参加できるようにすべきだから」が20%、「自衛隊も含めた軍事力を放棄することを明確にすべきだから」が8%、「海外で武力行使ができるようにすべきだから」が6%でした。

《9条"改正は必要ない"の理由》

憲法9条を「改正する必要はないと思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「平和憲法としての最も大事な条文だから」が67%と最も多く、「改正しなくても、憲法解釈の変更で対応できるから」が13%、「海外での武力行使の歯止めがなくなるから」が11%、「アジア各国などとの国際関係を損なうから」が5%でした。

《世論調査結果 専門家はどうみたか》

【改憲に向け議論進めるべきとの立場】関学大 井上武史教授

今の憲法を改正する必要があると思うかどうかの回答が去年の調査とほぼ同じ割合となったことについて、憲法学が専門で、憲法改正に向けた議論を進めるべきだという立場の関西学院大学の井上武史教授は「最近は憲法に関する議論が低調で国民を巻き込んだ議論にはなっておらず、それが数字にも出ているのではないか。憲法は私たちの国や社会をよりよくするもので、その都度生きている人たちが必要な改正を施すのが私自身は望ましいと考えており、70年以上も改革できていない憲法が本当に生きた憲法なのかというところは問い続けないといけない問題だと思う」と指摘しています。

また憲法9条について「ロシアによるウクライナ侵攻以降、憲法9条改正については若干関心が高まったと思うが、これまでとは異なり日本が侵略国になることへの歯止めとしてではなく、日本が被害者にならないようにするために9条を整備したほうがいいのではないかという、従来とは違う方向からの関心ではないか」と話しています。

【今は憲法を変えるべきではないとの立場】東大 石川健治教授

また憲法学が専門で、今は憲法を変えるべきではないという立場の東京大学の石川健治教授は「ウクライナ戦争の長期化で、おととしから続いた動揺が収まってきたこともありパニックに踊らされず、比較的安定した民意が今回の結果になっているのではないか。今進んでいる改憲論議はとにかく一度憲法の条文を変えるという方向だけが出ているわけで、何を守るのかという部分の議論がなされないように思う」と指摘しています。

また憲法9条について「安全保障環境の激変ということが強調されているわりには、世論は激変していないところがあり、冷静さが保たれている。一方ですごく警戒感を持ち始めているのではないかと見ており、日米同盟が強化され、中国との対立があおられる状況になると、潜在的に戦争の可能性があっていつ火がつくかだけの問題になっていて、その危険さに直感的に気付いているのではないか」と話しています。

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