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水俣病患者団体 環境相との懇談でマイク切られ謝罪など要望へ | NHK

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5月1日、熊本県水俣市で伊藤環境大臣と懇談した水俣病の患者団体などの発言が、環境省の職員に遮られたあとマイクの音を切られたことについて、団体側は8日に記者会見し、伊藤大臣に謝罪や再度の意見交換を要望する方針です。

水俣市では5月1日、公式確認から68年となった水俣病の犠牲者を追悼する慰霊式が行われ、式のあと、患者や被害者でつくる8つの団体の代表が伊藤環境大臣と懇談して、それぞれ3分間の持ち時間で国への要望などを述べました。

このなかで、被害者団体の副会長を務める82歳の男性が、水俣病患者と認められないまま去年亡くなった妻について話していた際、持ち時間を過ぎたあと、司会役の環境省の職員に発言を遮られ、マイクの音が切られました。

このほか会場では、別の団体が発言していた際にも、持ち時間を過ぎたあと同じようにマイクの音が切られる場面があり、懇談のあと、団体側からマイクの音を調節したのか尋ねられた環境省の職員は「事務局の不手際だった。申し訳ない」と回答しました。

一方、伊藤大臣は「マイクを切ったことを認識しておりません」と述べました。

一連の対応について、団体側は「被害者の願いや思いを踏みにじる許されない行為だ」として8日に記者会見を開き、大臣宛てに謝罪や再度の意見交換を求める要望書を提出する方針です。

環境省「不適切な対応だった」担当者が謝罪へ調整

環境省によりますと、各団体には発言時間は3分と事前に依頼し、制限時間になった際に司会者が「話しをまとめてください」と呼びかけたうえでマイクを切る運用にしていて、今回、被害者団体の副会長など2人が制限時間を超えたことからマイクを切ったということです。

去年も同じルールを設けていましたが、実際にマイクを切ったケースはなかったということです。

問題を受け、伊藤大臣から7日、「発言の途中でマイクの音量を下げたことは大変申し訳ないことであり、対象の人に直接謝罪するべきだ」との指示を受けたとして、担当者が現地に謝罪に行く調整をしているとしています。

環境省特殊疾病対策室の木内哲平室長は「不信感を与えてしまい申し訳ない。関係団体との懇談は例年行っているが、思いを語る中で発言が長引き、大臣が答える時間が短くなって、不十分だと指摘を受けることもあった。すべての団体が発言するため3分でお願いをしていたが、発言の途中でマイクを切るというのは不適切な対応だった」と説明していました。

懇談でのやり取りは

水俣病の患者団体など8つの団体と伊藤環境大臣の懇談は、水俣病の公式確認から68年となった5月1日、熊本県水俣市で行われました。

懇談は、環境省が毎年、水俣市などが主催する犠牲者慰霊式のあとに実施しています。

ことしの懇談で、伊藤大臣は冒頭「水俣を訪れ、みなさまのお話をうかがうことができる、重要な機会と感じている」とあいさつしていました。

この懇談では、団体ごとに3分の発言の持ち時間が設けられました。

被害者団体「水俣病患者連合」の副会長を務める松崎重光さん(82)は、ほかの団体の持ち時間を譲ってもらい、あわせて6分の持ち時間で、水俣病患者と認められないまま去年亡くなった妻について話しました。

持ち時間の終わりが迫ると、松崎さんは司会役の環境省の職員から「時間なのでまとめてください」と促され、その後、マイクの音を切られて、マイクを回収されました。

このほか会場では、別の団体が発言していた際も、持ち時間が過ぎたあとマイクの音が切られる場面があり、団体側からは「最後まで聞いてほしい」と抗議の声があがるなど、一時、騒然となりました。

また、会場をあとにしようとした伊藤大臣に対して、団体側からは「これで『意見を聞いた』と言わないでください」といった声もあがっていました。

このあとの記者会見で伊藤大臣は、各団体の持ち時間が3分となっていることについて、「事務方から聞いている範囲では毎年3分だそうです。新幹線や飛行機で戻るため、あの時間枠になっていると拝察しています」と述べました。

また、マイクの音が切られたことについては「意図的に切られたかどうか、私は存じあげません」と述べていました。

林官房長官「環境省の対応 適切とは言えない」

林官房長官は午後の記者会見で「水俣病対策はさまざまな関係者の意見を丁寧に聞くことが重要だ。そうした機会に、環境省の対応によって関係者を不快な気持ちにさせたことは、適切だったとは言えない。今後の対応は、環境省が適切に検討していく」と述べました。

マイクの音を切られた男性は

伊藤環境大臣との懇談で、発言を遮られマイクの音を切られた被害者団体「水俣病患者連合」の副会長、松崎重光さん(82)が、7日夜、熊本県芦北町の自宅で取材に応じました。

松崎さんは、水俣病の症状を訴えながらも患者と認定されないまま2023年亡くなった妻・悦子さんの思いや、今も多くの人が患者と認定されていない現状などについて、大臣に向き合ってほしいと懇談に臨んだということです。

松崎さんは「『母ちゃんのことば』を環境大臣に聞いてもらえればという気持ちでした」としたうえで、マイクの音を切られたことについては「また苦しませるのか、と感じました。くやしかったです」と話し、大臣との懇談の場を改めて設けてほしいという考えを示しました。

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