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試験飛行のため離水するUS2=兵庫県西宮市で2021年9月22日、中野剛志撮影
海上自衛隊が運用している水陸両用の救難飛行艇「US2」の存続が危ぶまれている。高さ3メートルの荒波でも海面に着水できる世界で唯一の飛行艇。前身となるUS1から数えると1000人以上の人命を救ってきた。にもかかわらず、なぜ今、ピンチに直面しているのか。 US2は全長33・3メートル、全幅33・2メートル、高さ9・8メートル。操縦士のほか、整備員、捜索プランを作る救難航空士、救助に当たるダイバー、看護師ら11人が任務にあたる。救助者も含めると最大20人程度が乗れるという。 海上での捜索救助活動はもちろん、離島や船舶で救急患者が発生した際の搬送などにも活躍してきた。現在、海自岩国航空基地(山口県)に7機配備されている。兵庫県宝塚市に本社を置く新明和工業が製造している。 最大速度は時速580キロ以上で、航続距離は4700キロ以上。ヘリコプターでは飛行距離が足りず、船では時間がかかりすぎる。そんな場所での捜索救助活動に力を発揮できるのが強みだ。小笠原諸島の硫黄島や南鳥島で補給すれば、日本の排他的経済水域(EEZ)の全域をカバーすることができる。四方を海に囲まれた日本には欠かせない存在とも言える。 前身となるUS1が1976年に初出動して以来、4月25日時点で出動件数は1074件で、1047人を救助している。たとえば2011年に沖縄県南東沖で発生した漁船火災では、日本人とインドネシア人の乗員計6人を無事救助。13年にヨットで太平洋横断を目指し、宮城県沖1200キロで遭難したニュースキャスター、辛坊治郎さんの救助でも活躍した。 記者は3月中旬、同基地所属の第71航空隊が豊後水道周辺で行ったUS2の救助訓練に同行した。 …