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努力義務の自転車ヘルメット  県内高校生9割超「着用せず」:日刊県民福井Web

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朝の通学時間帯に自転車で学校へ向かう生徒たち。ヘルメット着用者はほとんど見られない=福井市大手2で

 2023年4月の道交法改正によって、自転車利用時のヘルメット着用が努力義務となって1年余り。県警が高校生に実施したアンケートでは、自転車を利用する生徒の9割超が「着用していない」と回答し、着用率が伸び悩んでいる。高校生は通学時の自転車利用者も多く、県警は「悲惨な事故が起きる前に着用の意識を浸透させていきたい」としている。 

アンケート「髪形乱れる、かっこ悪い、周りの人も」

 4月中旬の午前7時半すぎ、福井駅付近では多くの高校生が列をなすように、自転車で学校に向かっていた。ただ、ヘルメットを着用している姿はほとんど見かけなかった。

 駅近くの駐輪場を利用していた高校1年の男子生徒に尋ねると、「中学の時はかぶっていた。高校から『着用しなさい』と言われないと、『かぶらなきゃ』とならない」。自宅から福井駅までバスを利用し、自転車に乗り換えて通学しているという。部活動の荷物を持ち運んでいた別の男子生徒は「ヘルメットは荷物になっちゃう」と、あまり気乗りしない様子だった。

 県警によると、ヘルメット着用の効果は統計で裏付けられている。2019年から5年間に全国で起きた自転車の死亡事故で、死者の53・9%が頭部に致命傷を負った。致死率をヘルメット着用の有無で比較すると、非着用者は着用者の約2・4倍に上る。

 県内の統計に限ると、自転車事故の死傷者の着用率は、22年度が14・3%。法改正後の23年度は17・0%で、全世代で見ても微増にとどまる。世代別では、小中学生よりも高校生の着用率は大幅に低い。23年度の自転車事故の死傷者94人のうち、約4分の1に当たる23人が高校生で、いずれもヘルメットをしていなかった。

 高校生のヘルメット着用に関する考えを把握しようと、県警は3月、「自転車用ヘルメット着用モデル校」に指定された大野高、武生高のほか、啓新高の計3校の生徒1199人にアンケートを実施した。自転車利用者874人のうち793人(90・7%)が「着用していない」と回答。このうち、88・3%に当たる700人は着用の努力義務化について「知っている」と答えた。

 着用しない理由を回答した820人の中で、最多は「周りの人が着用していないから」(304人)。「髪形が乱れるから」(188人)、「かっこ悪いから」(146人)が続いた。法改正があったことを知っているが、周りの目が気になって着用していない-。そんな高校生の本音が浮かび上がった。

 着用率を向上させるにはどうすればいいのだろうか。アンケートでは351人が「校則などによる着用義務化」、284人が「ヘルメットの無償提供や補助金制度を作る」を選んだ。校則や法律で通学時の着用を義務化した場合、約6割が「着用する」としたが、残りの回答者は「自転車以外の方法で通学する」「着用しない」などを選んだ。

 県警交通部の村中正幸管理官は「特効薬はない。ヘルメットをしていない場合のリスクを地道に呼びかけることがまだまだ必要」と話す。アンケート結果を踏まえ、各市町や教委に助成制度の創設や義務化の検討を働きかけていく必要もあるとした。(曽根智貴)

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