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実績と知名度 鈴木氏前面に 東、中部 浸透へてこ入れ【静岡県知事選の構図㊥】|あなたの静岡新聞

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 川勝平太知事の辞意表明から2日後の4月4日、前浜松市長の鈴木康友氏(66)は市内の料亭で県西部経済界の重鎮と会談していた。相手は鈴木氏を長年支援してきたスズキの鈴木修相談役(94)とハマキョウレックスの大須賀正孝会長(83)。地元経済界は自民党と一緒に担げる知事候補を模索していた。

県西部で高い知名度を誇る鈴木康友氏(右)。東部、中部での浸透が課題だ=4月下旬、磐田市内

 衆院議員2期5年、市長4期16年で培った実績と高い知名度を誇る鈴木氏。3年前の前回選で自民県連は、独自候補の"本命"として当時市長だった鈴木氏の擁立を画策したが、実現しなかった経緯がある。

 昨年4月末の市長退任後も知事選挑戦のうわさが絶えなかったが、鈴木氏は年齢を理由に後ろ向きな発言を繰り返していた。

 だが、機会は思わぬ形で巡ってきた。与野党とも乗れる「オール静岡」であれば―。会談の数日後、西部経済人の後ろ盾を得た鈴木氏は、この時点で出馬意思をほぼ固めたとみられる。

 鈴木氏を衆院議員時代から支援してきた連合静岡と、立憲民主、国民民主の両党県連、県議会会派ふじのくに県民クラブの4者は、自民に先んじて鈴木氏の推薦、支援を決めた。「こちらの方針に自民が乗れたら『オール静岡』が完成する」。連合幹部はそんな青写真を描いた。

 確かに、自民県連内には鈴木氏を推す声もあった。しかし、旧民主系の国会議員だった鈴木氏にアレルギーが根強い上、官僚出身の大村慎一氏(60)の方が県政のコントロールや県西部に偏る権力構造の是正が期待できるとの判断に傾いた。大村氏の推薦を党本部に上申し、事実上の与野党対決の構図が固まった。

 鈴木氏を推す野党系4者の代表者は「結束」を強調するが、自治労系労組には市長時代の鈴木氏の行財政改革に不満がくすぶる。立民県連の幹部も「支援を受ける連合の意向を無視できなかったが、大村氏を推す声もあった」と内情を明かす。自民同様、野党系も一枚岩とは言いがたい。

 鈴木氏は浜松市を中心に県西部で強固な支援態勢を築く一方、野党系議員や政治的影響力を及ぼす企業が少ない東部や中部は手薄だと陣営も認める。4月下旬、鈴木氏が磐田市内の祭り会場に飛び入り参加すると、大勢の住民から「頑張って」「応援してるよ」と声援が飛んだ。これを見た陣営関係者は「西部以外でこんな反応はない。浸透のためのてこ入れが必要だ」とむしろ危機感を強めた。

 浜松市長時代に手がけた産業振興策などを「全県に展開する」とアピールする演説についても「東部には東部の、中部には中部の課題がある。地域に特化したことを語らなければ、地域間対立の懸念は解消されない」とし、スタイルを改善して訴求力の向上を図る。

 

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