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【石川】マッサージ師 復興の力に 和倉 旅館休業で失職…でも:北陸中日新聞Web

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復旧事業者へのマッサージを始めた(左から)滝野桂子さん、土橋けい子さん、赤坂澄江さん=石川県七尾市の和倉温泉で

思い込め復旧事業者に施術

 能登半島地震の影響で石川県七尾市の名湯、和倉温泉の旅館で癒やしを提供していたマッサージ師たちも働く場を失った。視覚障害がある人もいて、新たな働き口を探すのが難しい。なりわいを再建しながら、能登の早期復興の力になろうと、復旧事業者へのマッサージに活路を見いだしている。 (大野沙羅)

 和倉温泉には旅館などの宿泊者向けのマッサージ師がいる。和倉温泉あんま組合長の土橋けい子さん(74)によると、温泉街全体では現在14人が働き、うち6人が視覚障害者。20歳から和倉で働く熊本県出身の赤坂澄江さん(70)は「力が大事。必死にやると汗びっしょりになる」と話す。60~70代のベテランが活躍している。

 50歳ごろに病気で失明し、土橋さんの紹介を受けて働き始めた滝野桂子さん(72)もその1人だ。新型コロナウイルス禍で宿泊者が減少し、収入は落ち込んだが、昨年秋ごろから徐々に回復。年末年始は予約が多かったといい、滝野さんは「忙しくなって、これからというところだった」と振り返る。

 元日、土橋さんや滝野さんは旅館で被災した。建物の被害は大きく、全旅館の休業で仕事もなくなった。滝野さんは金沢市のホテルや個人経営の店など十数カ所に連絡してみたが、受け入れ先はなかった。土橋さんも働き口を探したが、月収10万円以下の仕事しか見つからない。

 一部の組合員は金沢などで仕事を見つけたが「障害のある人が新しい場所に移って働くのはハードルが高い」と土橋さんは言う。「動かさないと指がにぶってしまう」とボランティア活動として、避難所で被災者にマッサージをした。

 仕事がなく、思い悩んでいた時、土橋さんは断水解消のために奮闘する水道業者らの姿を見かけた。「能登のために体を痛めて頑張ってくださる方たちに涙が出た。支援する側も大変」。和倉温泉に宿泊する復旧事業者にマッサージをしようと、4月から一部の旅館や日帰り入浴施設「総湯」で予約を受け付けている。土橋さんらは「一日も早い和倉、能登の復興のために元気に頑張ってもらう力になりたい」と思いを強くしている。

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