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幼少期に形成。恋愛関係に影響を与える、愛着(アタッチメント)スタイルとは?

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幼少期に形成されるアタッチメント(愛着)スタイルとは?

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愛着スタイルは、英国の精神分析医ジョン・ボウルビィによって開発・提唱された「愛着理論」に由来する。彼は、親から引き離された赤ちゃんは、再び繋がりを持とうと必死になるが、これは人間の自然な本能であることを発見。養育者の人格が幼少期を通じての赤ちゃんの感情的発達に大きな影響を与えるとした。

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親が愛情深く保護的であれば、子どもは他者との絆が安全であると感じることを学ぶ。一方、親が十分養育的ではなかった場合、子どもは不安や心配を感じ、保護手段として他者にしがみつくか、あるいは逆に執着することを避けるようになる。このように、養育者との関係性を基に、我々は他者との関係の取り方を決める「内的作業モデル」を自分の中に構築する。愛着スタイルはこの内的モデルに基づくものであり、成人以降の人間関係への取り組み方にも反映される。

愛着理論では、愛着スタイルを大まかに4つに分類しており、それぞれ不安型、回避型、無秩序型、安定型としている。以下でそれぞれの愛着スタイルの特徴を見ていこう。

1

不安型

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「不安型は、親密な関係で不安を感じるという特徴があります。多くの場合、自分自身の価値を低く評価し、相手を過大評価します」と、公認臨床心理士で作家のカリフォルニア州立大学心理学名誉教授ラマニ・ダーバスラ博士は語る。このようなスタイルを持つ人々は、「人間関係の中で見捨てられるのではないかという慢性的な恐怖を抱えている可能性があり、安心感を得るために接触や安心するための言葉を必要とすることがよくあります」

不安型の恋愛傾向

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24時間365日連絡が必要なのが不安型の恋愛だ。臨床心理学者で『Love Demystified: Strategies for a Successful Love』(恋愛の解明:恋愛を成功させるための戦略)の著者でもある名誉教授ビバリー・パーマー博士は不安型の恋愛傾向として 「愛する人に常にメールを送り、不安そうに返事を待っている可能性がある」と語る。「すぐに返事が来ないと、再度メッセージを送ったり、落ち込んでしまったりします」

2

回避型

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「回避型は、他の人と愛情を持って繋がりたいと望み、それを必要としますが、その人が自分を傷つけたり拒絶したりしないということを信じられません」とパーマー。 「そのため、彼らは深い感情や弱さを共有しようとせず、相​​手が近づきすぎると離れてしまいます」

回避型の恋愛傾向

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回避型は、自分自身が「強い」ことに誇りを持っている可能性がある。 「このような人たちは、人間関係において非常に独立心が強く、超然とすることができます」とダーバスラ。彼らは感情をあまり出さず、相手にも感情的に多くを要求しない。

3

無秩序型

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「無秩序型は、不安型と回避型が組み合わさったものです」とパーマー。 「このタイプの人は最初は求めて、その後で拒絶する、という強い感情を示すでしょう」

この愛着スタイルは、相手が離れることを恐れるあまり、自分から先に去ってしまうことが多いのが特徴だ。

無秩序型の恋愛傾向

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無秩序型は関係の中で、熱くなったり冷たくなったり感情のムラが起きやすい。 「感情の調節不全が多く発生する可能性があり、この行動は恋愛相手を非常に混乱させる可能性があります」とダーバスラ。 「無秩序型の人は、心では関係を望んでいますが、信頼することに難しさを感じています。拒絶されることを恐れて、自己防衛のために相手と親しくなったり、深く関わったりすることを避け続けてしまうかもしれません」

4

安定型

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「安定型は、最も健康的な愛着の形であると考えられています」とダーバスラ。 「このような人々は、人間関係の中で感情を表現することに抵抗がなく、親密な関係に慣れていて、人間関係の中で恐れを感じません。彼らは、例えばパートナーが旅行に出かけたときに、相手がいなくて寂しいと感じても、それでパニックや恐怖の感覚を経験したり、見捨てられたとは考えたりはしません。彼らは、相互尊重と互恵性を特徴とする関係を築くことができ、完全だと感じるための関係を必要としません」

安定型の恋愛傾向

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安定型はパートナーに愛情とスペースを与えることができる。 「安定型は、他人と深く繋がり、深い感情や自分の傷つきやすさを自由に表現することができます」とパーマー。 「彼らは過度に依存したり、過度に自立したりすることはなく、相互依存的です」

愛着スタイルは行動に影響を与えている

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愛着スタイルは、自分でも気づかないうちに行動に影響を与えている可能性がある。最近の研究では、愛着スタイルとユーモアの使い方の関係が調査された。その結果、恋愛関係において拒絶を恐れている人は、パートナーに対して皮肉の効いたユーモアを使うことが多く、恋愛相手と親密になることに困難がある人は、軽くて分別のないユーモアを使うことが多いことが判明した。

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この研究の著者らは、恋愛関係において不安型は、相手に好印象を与えるために自分の機知を積極的に見せようとしており、一方回避型は傷つくのを恐れ自分とパートナーとの距離を保つために個人的なことをあまり開示せず、無作為な冗談を使用していると考察する。

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別の新たな研究では不安定な愛着スタイルを持つ人は、パートナーと対面中もスマートフォンに集中してパートナーを無視しがちである、という結果も発表されている。これは、無意識のうちに、スマートフォンをブランケットのような愛着の対象とみなして、パートナーから安心を得られないときの拠り所にしている可能性がある。

いずれにせよ、不健全な愛着スタイルからくる行動は、たとえそのつもりがなくても、人間関係にストレスを引き起こす可能性があるため、あらかじめ自分の個人的なパターンを分析し、特定しておくことは有益だと言えるだろう。

愛着スタイルは一生変わらないの?

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愛着スタイルは幼少期に形成されてしまうから、もう手遅れだ、と絶望するのは早計だ。

まず多くの人は必ずしも一つの型に当てはまるわけではなく、複数のスタイルが混在している場合があることを知ろう。また、愛着スタイルは非常に流動的なものだ。愛する人の喪失や離婚などの生活状況の変化は、新しい愛着スタイルへの変化をもたらす可能性がある。

専門家に相談してみよう

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自分の愛着スタイルに満足できない場合は、愛着スタイルを積極的に変化させ、人間関係をより安全にすることが可能だ。この場合、カウンセラーなど専門家に相談してみるのも良いかもしれない。

「専門家に相談する際には自分がどの愛着スタイルなのかを話し合うより、自分が今どのように感じているか、つまり自分の恐怖や、人間関係の中での自分のあり方について話す方が役立つかもしれません」とダーバスラ。 「過去の恋愛関係について、それがあなたにとってどのようなものだったかを振り返ってください。幼少期の環境と現在の愛着スタイルの間に何か関連はありますか?」

パートナーが安定型なら協力を求めるのもアリ

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パートナーが安定型の場合、自分が変わりたいことをパートナーに正直に話し、そのプロセスにパートナーを巻き込むことを検討してみよう。 「3つの不安定な愛着スタイルのいずれかを持つ人は、他者が自分の欲求にどのように反応するかについて、無意識の期待を抱いています」とパーマー。 「これらの期待は、幼少期に両親との交流から学んだものです。自分の困窮感や不信感に気づいたら、その感情を愛する人と共有してください。相手が安定型の場合、あなたの挑戦を助けてくれるでしょう」

相手も安定型ではない場合は2人で解決法を探って

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パートナーも不安定な愛着スタイルを持っている場合、お互いが何を恐れているのか、何が不安を引き起こすのかについて話し合い、相手に必要なものを十分与えられているか確認し合おう。例えばデートに遅刻するなど相手が不安になりうる状況では、きちんと連絡のメッセージを送る、といった簡単な取り決めなどだ。そうすればお互いに不安は解消される。

自分の感情と向き合って、自己制御する術を学ぼう

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人間関係の中でどう反応するかは、自分で大きくコントロールできる部分だ。「人間関係において生じる強い感情に対して衝動的に行動するのではなく、自己制御する方法を学ぶべきです」とパーマー。 「愛する人の反応に対する自分の期待を変えてみてください。愛する人を十分に信頼して、一緒に弱音を吐けるようになってください」。そうすることで、2人の絆はこれまで以上に強くなり、お互いにより幸せになれるはずだ。

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